文字と組版、印刷展 勉強会に参加しました
10/14〜10/22に開催された「文字と組版、印刷展〜アナログからデジタルへの変遷〜」の展示会、勉強会に参加しました。
手動写植機 MC-6型、電算入力校正機 MK-110
MK-110、キーボードがずらりと並んでいますが、1つのキーに対して文字が9つ配置されています(数字キーの位置と対応しているので、その位置の数字キーを押すことで選択できる)。
さらにキーに配置できなかった分は、上に配置表があるので、さらにファンクションキーと組み合わせて入力するそうです。
キーの位置さえ覚えたら、変換するより早い…そうなんですが、覚えるのにどのくらいかかのか…。
写植機そのものを見たことがなかったので、実物が動くところを見れたのは貴重でした。
たぶんもう動いている所を見る機会はないんじゃないかな。
私が子供の頃の印刷物はまだこういった機械で、一文字一文字拾うように(その前は実際に活字を拾って)作られていたのかと思うと、長文がズラズラ並んでいる雑誌とかどれだけの時間と労力がかかっていたのか。どれだけ熟練の技術を必要とする作業だったのかと思ってしまいます。
こちらはもう一つ遡って活版印刷の文字。
よく見たら年賀状の賀詞が多くて、ちょっとアガる(すっかり職業病)。
資料にもらってくねーと掴んだところが、たまたまこのかたまりだったそうです。
最終日に「持って帰っていいよ!」と言っていただいたので、嬉々としていくつかいただいてきました。
さてどう使おう!(ワクワク)
19日・展示会記念セッション「電算写植」
初日14日の勉強会「Illustrator」には残念ながら別件の予定と重なってしまったので、19日から参加させていただきました。
スピーカーは、前半:(主催の)宮地知氏。後半:前田年昭氏、海輝氏、枝本順三郎氏。
お仕事の経験談や、組版、文字に対する熱いお話を伺いました。
電算写植時代、文字組版の指定はファンクションキーと呼ばれる指示記号(?)を文字と一緒に入力し、それを写植機が読み取って文字を組んでいたそうです。
上のMK-110で指示を入力し、保存したデータを写植機に読み込んで校正紙を出す…指示記号がいっぱい挟まっていて、知らない私が見たらほぼ暗号です(苦笑)が、htmlの構造に似ていると言えば構造的には似ているのかなと。そしてもちろんスピードと正確性が求められる現場。専門職であったことも頷けます。
組版沼への誘いを受けつつ、私の参加初日は終了。
20日・勉強会「書体」「デザイン」
スピーカーは、作る人:藤田重信氏 使う人:坂野公一氏 読む人:正木香子氏。
増税前のキャンペーンでLETSのフォント契約したばかりなので、書体見本の冊子が嬉しくて休憩時間に食い入るように見ていました…もともと書体見本帳とか、色見本帳とか、紙見本帳とか…好きな人です。
実際にデザインをされた藤田氏のお話を聞けるのは、今回の楽しみの一つでもありました。
この日は3部構成で、1部は書体を作る人(藤田氏)のお話、2部は作る人と使う人(本の装丁デザインをされている坂野氏)の対談、3部はさらに読む人(正木氏)が加わって…と、面白楽しく興味深いセッションでした。
文字沼…にはまだハマりたくないなぁと思いながら、この日も無事終了。
22日・勉強会「Webフォント」「デザイン」
スピーカーは、Webフォント: 関口浩之氏(フォントおじさん)、デザイン:伊達千代氏、島﨑肇則氏。
Webフォントって、出始めの頃に少し触ってみたことはあるんですが、その頃はまだ反応が遅くて実装までは至りませんでした。
最近は軽くなったのに、まだ重いって思われてる!というのをよく聞くし、どうなのかなぁと思っていたのですが、各社サービスのメリットデメリットはあれど、用途に応じてうまく使い分ければ全然有効だなぁと。
画像じゃなくて、テキストでしっとりとした和文フォントを縦書きで置けるようになったのがすごいなぁと思っています。
休憩を挟んで後半は、デザインの過去・現在・未来について。
アナログ時代の原稿作成の流れを教えていただいたり、雑誌を過去から遡りながらデザインを見ていきました。印刷技術や、アナログからデジタルへの道具の変遷に合わせて、デザインも変化していくのが興味深かったです。
さて、これから先はどうなるだろう?というところで、3部はスピーカーのお3方で、参加者を巻き込みながらのセッションに。
最近のロゴマークがどれも似たようなものになっている問題、それはデザイナーが求める良いデザインがそうなっているのか、ユーザーが求めるものなのか、という話題で、「媒体に応じたデザインに変化している。紙に印刷して使用するものと、スマホの小さい画面で表示するアイコンでは違いが出て当然」というところになるほどと。最近の企業ロゴなんかもそちらに寄っているのかもしれません。
ただ、この先どんどんシンプル簡略なデザインが良しとされていくのかというと、そんなこともないのではないかという事に。求める人のニーズに応じて、何が「良い」デザインなのかは変わっていく…ので、新しい環境や道具も積極的に取り入れていける柔軟性が必要だなぁと感じました。
いろんな事にワクワクして、楽しんでいかねばですね。
おしまい
最後は展示会場の片付けを少しお手伝いさせていただいて終了。
まだまだ勉強が足りないなぁと思いながら帰宅しました。
これからも、もっと貪欲にいろんな事を楽しみながら「良い」デザインを模索していきたいと思います。